変えることとの付き合い方
変えるのが怖いのは当たり前。だから小さく試すという考え方
四日市のある工場では、注文の記録を長年ずっと同じ用紙に手書きで残してきました。字のクセも独特で、書いた本人にしか読めない部分もあります。ベテランの担当者が急に休むと、誰も続きを書けなくなってしまいます。新しいやり方を試したい気持ちはあっても、なかなか一歩を踏み出せません。お客さんが戸惑うかもしれない、みんなが混乱するかもしれないと思うからです。それでも今のやり方を変えるのは怖くて、ずっと同じまま続けている、という会社は少なくないはずです。
新しいやり方を試すときに、怖さを感じるのは当たり前のことです。だから、いきなり全部を変えようとしなくて大丈夫です。ほんの一部分だけ、小さく試してみることから始めると、その怖さはぐっと小さくなります。まず、変えたい仕事の中から、一番小さくて、失敗しても困る人が少ない部分を一つだけ選びます。注文用紙のすべてを見直すのではなく、その中の一つの項目だけ、書き方を変えてみるくらいで十分です。次に、試す期間を先に決めておきます。今週の分だけ、あるいはこの一件だけ、と区切っておきます。うまくいかなくても、すぐ元のやり方に戻せると思えます。それだけで、気持ちがだいぶ軽くなります。最後に、試し終わったあとに、担当者同士で五分だけ話す時間を作ります。よかった点と困った点をお互いに口に出すだけで、次にどこを変えればよいかが自然と見えてきます。無理に大きな結論を出そうとしなくても構いません。
それでも、小さく試している間は、慣れないぶん少しだけ手間が増えることもあります。周りの人が戸惑って、思ったより時間がかかることもあるでしょう。すぐに楽にならなくても、それは失敗ではなく、確かめている途中なだけだと思ってください。焦らず、一つずつ次の一歩を決めていけば大丈夫です。
このコラムは、西村利之と山口真が書いています。
