変えることとの付き合い方
道具を増やす前に、やめられる仕事を1つ探す話
朝礼のあと、注文の中身をノートに書き写し、それを別の紙の一覧にもう一度書き直している人はいませんか。四日市のある工務店では、電話で受けた注文をメモに取り、台帳に書き写し、連絡帳にも同じ内容を書いていました。忙しい月末になると、どれが最新の内容かわからなくなり、同じことを何度も聞き直すことも増えたそうです。このやり方を良くしたいとき、まず思いつくのは新しい道具を増やすことです。でも先に見直したいのは、今ある仕事の中から一つやめられるものを探すことです。道具を増やしても、やめる仕事を決めていなければ、書く場所が増えるだけで、かえって手間が増えてしまいます。まず引き算から考えると、次の一歩が見えやすくなります。
やり方は次の通りです。まず、一日の仕事を紙に書き出して、同じ内容を何度も書いている場所がないか探します。次に、その中でいちばん時間がかかっているものを一つだけ選びます。最後に、その一つをどうやってやめるか、写す回数を減らす方法だけを考えます。さきほどの工務店では連絡帳をやめて、台帳をそのまま職人に見せる形に変えました。台帳は事務所と現場を車で行き来するときに、そのまま持たせるようにしたそうです。書く場所が三つから一つに減り、聞き間違いも自然と減ったそうです。新しい道具は一つも増やしていません。今ある紙をどう使うかを変えただけです。
ただし、これで全部の手間がなくなるわけではありません。急ぎの注文が入ったときは、やっぱり電話と口頭での確認が必要になります。台帳を忘れて現場に出てしまう日もあるそうです。それでも、まずは一つ、書く場所を減らすところから始めてみてください。一つ減らせたら、それだけで今日は十分です。
このコラムは、西村利之と山口真が書いています。
