変えることとの付き合い方
便利になったのに現場が不満そうなとき、見直すこと
新しいやり方に変えてから、レジ打ちや伝票の作業は前よりずっと早く終わるようになりました。それなのに、パートさんたちの表情はどこか硬いままです。休憩室では「前のやり方のほうが安心できた」という声がぽつりと聞こえてくることもあります。数字の上ではうまくいっているはずなのに、現場の空気だけが重いままなのです。時間が早く終わったことを喜ぶ人は、実はあまりいません。
こういうときは、便利になった中身そのものを疑うより先に、説明の仕方を見直すと楽になりますよ。早くなった、楽になったという結果だけを伝えていることが多いです。なぜそのやり方に変えたのか、理由まで話せていないのです。理由が分からないまま新しいやり方だけを渡されると、人は不安になり、口を閉ざしてしまいます。慣れた手順を急に取り上げられたように感じる人もいます。やり方はこうです。まず、変えた理由を一人ひとりに、短い言葉で伝え直します。「前のやり方だと誰かが休むと困るから」など、理由は一言で十分です。次に、一番浮かない顔をしている人に、率直にどこが使いにくいかを聞いてみます。答えにくそうなら、紙に「困っていること」を一言だけ書いてもらう形でもかまいません。名前を書かなくてよいことにすると、正直な声が出やすくなります。最後に、出てきた不満のうち、その日のうちに直せそうな小さな部分だけをすぐに直します。全部を直せなくても大丈夫です。一つ直っただけで「ちゃんと聞いてもらえた」という気持ちが伝わります。
ただし、これですぐに表情が晴れるとは限りません。長年のやり方に愛着がある人ほど、慣れるまでに時間がかかります。焦らず、同じ説明を何度か繰り返す気持ちでいると、少しずつうまくいきやすいです。
このコラムは、西村利之と山口真が書いています。
