お店の日々の工夫
「いつもの」が通じる常連さんを増やす、名前メモの習慣
夕方、常連のお客さんが店に入ってきて、「いつもの、お願いします」と言いました。ところがその日はいつもと違う人が担当していて、「いつもの」が何を指すのかわかりませんでした。お客さんも気まずそうに笑い、担当の人も慌てて厨房やレジの奥をきょろきょろ見てしまいました。四日市の飲食店や理容店、美容室、クリーニング店では、こういう場面が意外とよく起きています。お客さんにとっては、覚えてもらえていないと感じる、少しさびしい瞬間でもあります。せっかく通ってくれているのに、これでは足が遠のいてしまうかもしれません。
結論から言うと、お客さんの名前と好みを短いメモに書き留めておけば、この気まずさはすぐになくなります。難しい道具もお金も必要なく、その日のうちに始められます。まず、レジの近くや控え室に、小さなノートを一冊置きます。次に、来てくれたお客さんの名前と、頼んだものや好みを一行だけ書きます。「田中さん、味噌だれ、辛さ控えめ」「山田さん、前髪短め」というくらい短くて十分です。名前が聞きにくいときは、席や来店の曜日を手がかりに書いても構いません。最後に、次にその人が来たときは、担当が誰であっても、そのノートをさっと見てから声をかけます。これだけで、「いつもの」がちゃんと通じるようになり、お客さんも自分のことを覚えてもらえていると感じて、また来たくなります。
ただし、書く量が増えすぎると、途中で誰も見なくなってしまいます。一行で終わる短さを守ることが、長く続けるいちばんのこつです。お客さんの目の前で堂々とノートを見ると、少し驚かれたり、監視されているように感じさせたりすることもあります。会計の合間や片づけのときなど、さりげなく確認するくらいが、ちょうどいい距離感です。
このコラムは、西村利之と山口真が書いています。
