引き継ぎ・教える
新人さんへの説明が3回目になったら、紙1枚に書くとき
「これ、前にも言いましたよね」と喉まで出かかったことはありませんか。レジの締め方や在庫の並べ方、電話の取り次ぎ方を、新人さんに三回説明した経験は珍しくありません。忙しい日に限って同じ質問が飛んできて、つい声がとがってしまいます。同じ説明が三回になったら、その場で紙一枚に書いてしまうのが一番早い道です。もう一度口で説明する手間も、新人さんの「また聞くのは気まずいな」という遠慮もなくなります。教える人が休みの日や忙しい日でも、新人さんが自分で確かめられるようになります。
まず、三回目に説明したその場で、話した内容をそのままメモに書き留めます。難しい言葉を使わず、実際に手を動かす順番のとおりに書くのがコツです。たとえば「まず電源を入れる、次にレシートを外す」のように、動作の順番で並べます。次に、そのメモを見やすく清書して、作業する場所のすぐ近くに貼っておきます。レジの横や棚の前、電話機のそばなど、目に自然と入る場所が一番よく効きます。字は大きく、少し離れても読める大きさで書くと親切です。写真を一枚そえるだけでも、ぐっとわかりやすくなります。最後に、新しい質問や間違いが出てくるたびに、その紙に一行ずつ書き足していきます。紙は一度作って終わりにせず、少しずつ育てていくものだと考えると気が楽になります。
ただし、紙に書いても読まれないことはあります。忙しい時ほど、紙を見る余裕がなくなってしまうからです。そんなときは声をかけて、一緒に紙を見る時間をほんの一分だけ作ってみてください。それだけで、紙の存在をもう一度思い出してもらえます。紙が一枚あるだけで、教えるほうの気持ちにも少し余裕が生まれます。完璧な紙でなくても、まずは今日のうちに一枚、書いてみることから始めてみませんか。
このコラムは、西村利之と山口真が書いています。
