引き継ぎ・教える
急に休んでも回る店と、回らない店のちがい
朝いつも開店準備をしている人から、急に「今日は熱があって休みます」と電話が来る。そんな時、レジの開け方も、仕入れ先へ電話をかけるタイミングも、その人しか知らなかったらどうしますか。慌ててあちこちに電話をかけまくり、開店時間が遅れてしまうお店を、四日市の近くでも何度か見てきました。パートさんが一人休んだだけで、その日一日中みんながピリピリしてしまうお店もあります。急に休んでも回るお店と、回らないお店のちがいは、働く人の能力の差ではありません。今日やるべきことが、その人の頭の中だけにしまわれているか。それとも紙に書いて、誰でも見られる場所に置いてあるか。その差だけです。
やり方は難しくありません。まず、一日の仕事の中で「これをやらないと困ること」を紙に書き出します。開店準備をする順番、仕入れの電話をかける時間、レジを閉める手順など、思いつくままで大丈夫です。次に、その紙をレジの横や休憩室の壁など、誰の目にも入る場所に貼っておきます。最後に、休みの日ではない普通の日を選んで、あえて別の人にその紙だけを見て一通りやってもらいます。うまくできなかったところが、紙に書き足りなかったところです。実際にやってみると、自分では当たり前すぎて書き忘れていたことに、たくさん気づきます。
ただし、常連さんの好みや、機械のちょっとしたくせのようなことまでは、紙にすべて書き切れません。そういう細かいところは、休んでいる人に一本だけ電話をかけて聞く形が残っても大丈夫です。それでも、慌てて何本も電話をかけて店の中を右往左往する状態からは、確実に抜け出せます。休んだ本人も、次の日「迷惑をかけた」と気に病まずに済みます。
このコラムは、西村利之と山口真が書いています。
