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引き継ぎ・教える

ベテランの頭の中を、雑談しながら記録に残すコツ

三重県の工場や店で、長く働いているベテランさんがいます。機械の調整のコツを聞いても、「なんとなくわかる」としか返ってこないことがあります。若い人が同じようにやってもうまくいかず、結局いつもそのベテランさんを呼びに行く羽目になります。機械の音の変化や、お客さんの好みに合わせた微妙な加減など、言葉にしにくいことほど大事です。長年の勘やコツが、頭の中だけにしまわれていることがあります。その人が休んだり辞めたりすると、急に誰も同じようにできなくなります。手順書を作ろうと思っても、忙しくてなかなか筆が進みません。

こういうときは、かしこまって聞き出そうとせず、雑談の中で少しずつ記録すると楽になります。まず、休憩中やお昼ごはんの時に「さっきの作業、どうしてあの順番でやったんですか」と気軽に聞いてみます。次に、スマホには声を録れる仕組みが最初から入っているので、それを使って会話をそのまま残しておきます。文字に起こす手間は後回しで構いません。最後に、聞けた話の中から大事な一言だけを選び、ノートやホワイトボードに短く書き足しておきます。「この音がしたら止める」「急いでいるお客さんにはこの順番で対応する」というふうに、短い言葉で十分です。聞き役は一人に決めておくと、話す方も気楽に続けられます。何日かに分けて聞くうちに、いつの間にか大事なコツがひとまとまりの記録になっていきます。

一度にすべてを聞き出そうとしなくて大丈夫です。ベテランさんの知恵は、実際に困った場面でふと出てくることが多いです。雑談は一回で終わらせず、何度も続けてみてください。それでも全部は残せませんし、話してもらったことをこちらがすぐ忘れてしまうこともあります。それでも少しずつ積み重ねれば、いなくなってから困ることはぐっと減ります。

このコラムは、西村利之と山口真が書いています。