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守る・備える

「うちは狙われない」と思っていた会社の話

四日市のある製造会社での話です。取引先を装ったメールが届き、「振込先の口座が変わりました」と書いてありました。文面はいつもの担当者の名前入りで、ロゴまで本物そっくりでした。経理の担当の方は「いつもの相手からだから」と疑わず、そのまま新しい口座に振り込んでしまいました。数日後、本物の取引先から「入金がまだ来ていない」と連絡があり、そこで初めて偽物だったと気づいたそうです。社長さんは「うちみたいな小さい町工場が狙われるはずがない」と、ずっと思っていたと話していました。

結論から言うと、狙う側は会社の大きさなど見ていません。むしろ、確認の仕組みが緩そうな会社を選んで、手当たり次第に送っています。人数が少なく、一人の担当者がお金の判断から支払いまで一人で抱えている会社ほど、実は狙われやすいのです。四日市の周りでは、同じような手口の話をあちこちで耳にします。

やり方は難しくありません。まず、知らない相手からのメールや電話でお金や合言葉の話が来たら、その場で決めず近くの人に見せます。次に、取引先から「振込先が変わった」と連絡が来たら、そのメールには返信しません。前から知っている電話番号にかけ直し、本人に確かめます。最後に、パソコンやメールの合言葉は、誕生日や電話番号のような分かりやすいものを避けます。他のところと同じ合言葉を使い回さないようにします。それでも、本物そっくりに作られた偽物は、どうしても見破れないことがあります。急いでいるときほど、確認を後回しにしてしまいがちです。だからこそ、少しでも変だと感じたら、お金が動く前に一度立ち止まる。この一呼吸が、一番の備えになります。

このコラムは、西村利之と山口真が書いています。